えん麦(オーツ麦)」をご存知ですか?

最近大麦が健康に効果があるとテレビで取り上げられてブームになってきていますが、えん麦も大麦と同じように多くの効果や効能が期待できる食べ物です。

えん麦に含まれる栄養成分とそれが私たちにどのような良い影響をもたらしてくれるのかを紹介します。

えん麦とは?大麦との違いについて

えん麦」は小麦や大麦と同じで穀物の一種です。

えん麦」は「えんむぎ」ではなく「えんばく」と読み漢字では「燕麦」と書きます。

別名「オーツ麦」とも呼ばれています。

えん麦は大麦のように、お米に混ぜて食べるというより欧米ではオートミールやグラノーラとして一般的に食されています。

オートミールとグラノーラの違いは?

グラノーラ
グラノーラ

オートミール」はえん麦単体を原料に作られた シリアルです。

グラノーラ」はオートミールに 麦やコーン、ナッツ類などを 混ぜて、ハチミツや油を加えてオーブンで焼いた食べ物です。

えん麦は日本ではあまり認知度が高くないですが欧米では栄養価の高い食材として広く知られている食べ物です。

えん麦に含まれる注目の栄養成分β-グルカンとは?

えん麦で注目されている栄養成分は「β-グルカン」です。

β-グルカン」は大麦にも多く含まれる成分で
水溶性食物繊維の一種ですが

国内外の公的機関が「機能性表示」を認めているほどです。

日本では2015年から機能性表示食品が販売されていますが、機能性表示食品とは

おなかの調子を整えます」「脂肪の吸収をおだやかにします」など、特定の保健の
目的が期待できる(健康の維持及び増進に役立つ)という食品の機能性を表示する
ことができる食品です。

消費者庁「機能性食品って何?」

β-グルカンの効果と機能性表示を認めている国

β-グルカンの効果 認めている国
食後の血糖値を抑える 日本、欧州
正常な腸機能の維持 日本、韓国
排便促進効果 欧州
心疾患のリスクが減る 米国、カナダ、欧州
コレステロール値が低下 日本、欧州、FSANZ

FSANZ:オーストラリア、ニュージーランド食品基準機関

またこのような効果以外にもβグルカンには内臓脂肪面積が減ったというデータも出ていますのでダイエット効果も期待されています。

β-グルカン」は大麦やえん麦だけでなく、キノコ類や海藻類などにも含まれている成分ですが、このように国内外の機関で栄養機能を認めて機能表示が許可されているのは「大麦やえん麦由来のβ‐グルカン」です。

えん麦のβ-グルカンの効果効能について

①血糖値の上昇を抑える

β-グルカン

  • 大腸の中間で効果を発揮
  • 糖質の消化吸収を抑える
  • セカンドミール効果

という特徴があります。

セカンドミール効果とは?
最初の食事(ファーストミール)が次の食事(セカンドミール)時まで影響が続くことです。

例えば、朝食にβグルカンを含む食事をすると、次の食事まで血糖値の上昇を抑えてくれます。

さらに水溶性食物繊維の「えん麦β-グルカン」は水に溶けると粘性を増す性質があり、えん麦を摂取すると胃の中で長く滞留し、腸での消化・吸収がゆるやかになることで血糖値の急激な上昇を抑えることができます。

食後の血糖値の上昇がおだやかになることで肥満や糖尿病の予防にもつながります。

②悪玉コレステロール低下作用

また最近は健康診断でコレステロール値が高く「脂質異常症」と言われる人が多い傾向にあります。

糖質や脂質の多い食べ物をたくさん食べて運動不足という生活が続くとコレステロール値が高いというだけでなく、最後には心筋梗塞脳卒中という死に直結する病気にもかかりやすくなります。

えん麦β-グルカン」には悪玉コレステロール低下作用もあることも海外政府機関EFSA(欧州食品安全機関)やFSANZ(オーストラリア・ニュージーランド食品基準機関)が認めていますが、これは小腸で胆汁酸と結びつき、便として排出してくれるからです。

③血圧低下作用

最近では「えん麦β-グルカン」の血圧低下作用も話題になっています。

2002年の海外で発表された調査でも「えん麦β-グルカン」を12週間摂取させた患者さんの血圧低下が認められたことが報告されています。

またFDA(米国食品医薬品局)は「えん麦β-グルカン」を1日に3g摂ると狭心症心筋梗塞といった冠状動脈疾患のリスクが低減することを認めています。

④整腸作用⇒便秘解消効果

食物繊維は便秘解消に効果がある」と聞いたことがある人は多いと思います。

ただ現代の日本人は食物繊維の摂取量が少ないと言われていて、

1日の食物繊維の目標摂取量は

  • 成人男性で19g以上
  • 成人女性で17g以上

と言われています。

ですが毎日野菜やキノコ類、海藻類をまんべんなく食べるのが難しいという人が多いのが現状ではないでしょうか?

そこでおすすめなのが「えん麦」です。

実際に含まれる100g当たりの食物繊維の含有量は日本食品標準成分表2015年版によるとオートミール(えん麦由来)は9.4g
あります。

※えん麦の情報はありませんでした。

オートミールよりも食物繊維が多いのが大麦(押し麦)の10.3gですが、玄米の3.0gや白米の0.5gと比べるとかなりの量です。

その他にも食物繊維が多いと言われるさつまいもが2.3g、ごぼうが5.7gですから、いかにえん麦(オートミール)が食物繊維が豊富なのかがわかります。

そしてえん麦の食物繊維がスゴイのがバランスが良いことです。

食物繊維には不溶性食物繊維水溶性食物繊維があるのをご存知でしょうか?

どちらも腸内環境を改善して腸のぜん動運動を促し、便通がスムーズになる効果や老廃物を外に出す働きがあります。

※腸の蠕動(ぜんどう)運動とは?
消化した食べ物を腸の中で 移動させたりする働きで、ぜん動運動が 活発になると胃腸の調子もよく、便通が スムーズになります

ですが不溶性食物繊維ばかり摂り過ぎると、お腹がふくらんで苦しくなったり、腸に過剰な刺激が伝わることで腸のぜん動運動が抑制されて便がコロコロしたものになる場合があります。

そのため食物繊維も水溶性と不溶性をバランス良く摂る必要があります。

水溶性と不溶性食物繊維のバランスは1:2が理想です。

食品に含まれる食物繊維(100gあたり)

食品 水溶性 不溶性 食物繊維の合計
オートミール(えん麦) 3.2g 6.2g 9.4g
大麦(押し麦) 6.3g 4.0g 10.4g
玄米 0.7g 2.3g 3.0g
精白米 0 0.5 g 0.5g
さつまいも 0.5g 1.8g 2.3g
ごぼう 2.3g 3.4g 5.7g
アーモンド 0.6g 11g 11.6g

見てわかるように食べ物によって水溶性と不溶性の割合がバラバラです。

この表でだけではなく実際に不溶性食物繊維の割合が高い食べ物の方が多く、特にアーモンドは9割以上が不溶性です。

このようにたくさん食物繊維が多いと言われている食べ物を食べても、アーモンドのように不溶性食物繊維の割合がかなり高いものばかり食べると食物繊維の効果が発揮されません。

「私は食物繊維をたくさん摂っているのになぜ便秘なのだろう?」と思ったら水溶性食物繊維をほとんど摂っていなかったという人も多いです。

不溶性食物繊維ばかり摂っているかも」という人には大麦がおすすめです。

オートミール(えん麦)は水溶性3.2g、不溶性6.2gでほぼ1:2と理想的な割合なので、食物繊維をあまり摂っていない人におすすめの食べ物です。

外国人は水溶性食物繊維が豊富な海藻類をほとんど食べませんが、オートミールでバランスを摂っているのかもしれませんね。

日本人でも海藻をほとんど食べないという人は食物繊維が不足の可能性が高いので食物繊維のバランスが良いえん麦を食べるようにしましょう。

食物繊維は大腸にいるビフィズス菌などの善玉菌エサになることで、善玉菌が活発になったり増えたりします。

それにより腸内フローラのバランスが良くなり、便通が良くなるだけでなく免疫力もアップすると言われています。

実は人の体の免疫システム全体の70%腸に集中してると言われていて、腸内の免疫腸内細菌は密接な関係をもっています。

腸内細菌を健常な状態に維持することは、健康を維持していく上でも、病気の予防やアンチエイジングなどに役立つ上でも大変重要な問題です。

免疫力が上がることでカゼはもちろんのこと、冬に流行るインフルエンザやノロウイルスなどにもかかりにくくなります。

また食物繊維をたくさんとることで、腸の中で酢酸、酪酸などの「短鎖脂肪酸」が増えると言われています。

酢酸には殺菌作用があり、大腸菌O-157などの悪玉菌の増殖を抑える働きが確認されているほか、体脂肪の合成と蓄積を抑える働きなども注目を集めている。

一方、腸で酪酸が増えると、アレルギーの原因となる「免疫の暴走」を抑える「Tレグ細胞」が増えることもわかってきています。

最近は「腸活」という言葉が流行っていますが、腸内環境を改善することが健康にかなり重要なポイントです。

⑤ダイエット効果

 

10代、20代のうちはちょっと頑張っただけで体重が落ちていたものの、歳をとると年々基礎代謝が落ちて食事制限したくらいではなかなか体重が落ちないという人が多いのではないでしょうか?

このような人にもえん麦はおすすめです。

先程も紹介したように「えん麦β-グルカン」は水に溶けると粘性を増すという性質があります。

摂取することでお腹の中で水に溶けて粘性を増し、長期間とどまることで満腹感が持続します。

さらに摂取した食べ物の小腸への消化・吸収をゆるやかにして食後の血糖値の急上昇を抑え、食事の満足感が長続きします。

また、大妻女子大学の青江教授によると

えん麦β-グルカンを摂ると食欲を調整するホルモンが分泌されるのでムダな間食を防げます。

と言及しています。

このようにダイエットをしている人はもちろんのこと、病気や健康診断の結果が悪くてお医者さんにダイエットをするように言われている人にもピッタリの食べ物がえん麦なのです。

えん麦のその他の栄養成分と効果効能

えん麦は食物繊維だけではなくタンパク質やタンパク質を作るアミノ酸も豊富です。

オートミール100gに含まれるタンパク質は13.7gと食物繊維よりも多く含まれています。

タンパク質は筋肉内臓、骨、皮膚、髪、血液をはじめ、ホルモン酵素免疫物質などの材料となる重要な成分です。

タンパク質を作るのがアミノ酸ですが20種類ほどあります。

このうち体内で合成できないものは「必須アミノ酸」と呼ばれ9種類ありオートミールには全ての種類が含まれています。

必須アミノ酸の中で最近注目されているのは

  • イソロイシン
  • ロイシン
  • バリン

この3つは「BCAA(分岐鎖アミノ酸)」と呼ばれており運動中のエネルギー源にあります。

さらに疲労回復の働きもあるため、運動前後に摂ると有効です。

また非必須アミノ酸には健康や美容、成長に欠かせない成分が含まれています。

そして食物繊維と同様に日本人の摂取量が少ないのがミネラルです。

ミネラルは5大栄養素のひとつで全体の4%程の成分なのですが、不足することにより骨粗しょう症や貧血、生活習慣病などあらゆる病気にかかりやすくなると言われています。

下記の表を見てもわかるように栄養豊富と言われている玄米よりもミネラルが多いということがわかります。

オートミール、白米、玄米のカロリー・成分比較(100g当たり)

カロリー・成分 オートミール 玄米 白米
カロリー(kcal) 380  350 356
タンパク質(g) 13.7 6.8 6.1
カルシウム(㎎) 47.0 9.0 5.0
マグネシウム(㎎) 100 110 23
リン(㎎) 370 290 94
3.9 2.1 0.8
カリウム(㎎) 290 230 88

このようにオートミール(えん麦)は水溶性食物繊維のβ-グルカンが注目されていますが、タンパク質(アミノ酸)やミネラルなども豊富に含まれているのがおすすめの理由です。

また、栄養が少ない白米やパスタやうどん、パンの原料小麦もグルテンの体への悪影響などが心配されています。

えん麦(オーツ麦)そのものはグルテンを含まないので、小麦アレルギーの人も食べることができます。

ただし、えん麦は小麦の花粉を受粉することがありグルテンに構造の似たたんぱく質を含むことがあるので、その点は注意が必要です。

まとめ

まだまだえん麦(オーツ麦)は日本では認知されていませんが、海外ではポピュラーな食べ物です。

食物繊維やミネラルが不足気味の人が多いですが、えん麦を食べることで解消できます。

ダイエットをしたい方だけでなく健康のためにもお米や小麦製品の食べる量を減らして代わりにえん麦の加工品であるオートミールなどを食べてみてください。