最近はお茶の健康や美容効果が知れ渡るようになり、多くの種類のお茶が出ています。
その中でも桑の葉を原料とした「桑茶」が徐々にではありますが注目されています。
「桑の葉」といえば蚕(カイコ)のエサで有名です。
蚕は桑の葉をエサとして、あの肌触りの良いシルクの糸を作り出しますが、実は他の葉っぱを食べると何も出ないのです。
ということは桑の葉を原料とした桑茶には何か秘密が隠されていると思いませんか?
今回は
- 桑茶とは何か?
- 桑茶の注目の栄養成分と効果や効能
などを中心に紹介します。
桑の葉からできた桑茶とは?その歴史と特徴について
桑は英語ではMulberry(マルベリー)と呼びますが、クワ科クワ属の落葉樹で約1400~1500種あると言われています。
そして大きくわけると
- 葉っぱを収穫する養蚕用の「ヤマグワ」
- 果実の収穫が目的の「西洋桑」
この2種類になります。
日本では蚕のエサや桑茶の原料の「桑の葉」の方が親しみがありますが、最近ではスーパーフードとして「桑の実」が注目されています。
桑の実の詳細は桑の実(マルベリー)の効果や効能がスゴイ!注目栄養成分や食べ方についてをご覧ください。
桑の歴史
桑の歴史はとても古いです。
約1800年前の中国の古い薬物書「神農本草経(しんのうほんぞうきょう)」にも桑の薬効が書かれ、古くから生薬(しょうやく)・漢方として用いられてきました。
日本で桑の記載があった最も古い文献は、古代大和ことばで書かれた「秀真伝(ホツマツタエ)」と言われています。
※「秀真伝(ホツマツタエ)」は古事記や日本書紀の原典とも言われる書物です
その後、桑が一般的になったのは、鎌倉時代に臨済宗の開祖であった栄西禅師が「喫茶養生記」で桑茶について
「水をいくら飲んでものどの渇きを覚える飲水病(糖尿病)に三・五日で必ず験あり」
と記し、桑茶は健康に良いとされ、多くの人々に愛用されるようになりました。
実際に現代では桑茶は血糖値を下げる効果も認めれていて「糖尿病」に効果があると期待されています。
ですが医学が発達していない800年前位にわかっていたとは驚きですね。
桑茶の味とカフェインについて
桑茶は桑の葉をパウダーにしたものが多いです。
緑茶のように急須に入れたり、紅茶のようにティーパックですと、葉の栄養素が茶殻やティーパックに残ってしまいます。
ですがパウダータイプであれば全て栄養を取れるのがうれしいですね。
見た目は緑茶のパウダータイプと変わりありません。
味もクセがなく飲みやすいです。
杜仲茶も健康に良いですが、味にクセがあり長続きしない人が多いですね。
桑茶であればそんな心配もありません。
また、桑茶にはカフェインが含まれていません。
カフェイン自体は身体に悪いものではなく、摂りすぎに注意が必要と言われています。
特に妊婦さんや赤ちゃん、ちいさなお子さんは摂りすぎるとさまざな悪影響が心配されています。
緑茶や紅茶、ウーロン茶以外にもコーヒーやコーラ、栄養ドリンク、チョコレートなど知らず知らずのうちに過剰摂取になっている場合があります。
ですが桑茶であれば何杯のんでも安心です。
漢方に使われるほどの栄養価が高く、カフェインも含まれていない桑茶にはどのような成分が含まれているのでしょうか?
桑茶の注目の栄養成分と効果や効能
桑茶は栄養が豊富なだけではく、桑茶特有の成分もあり近年研究が進められています。
それではその中でも注目の栄養成分とその効能について紹介します。
桑茶特有成分のDNJとQ3MG
桑茶のみに含まれる特有の成分が2つあります。
「DNJ(デオキシノジリマイシン)」の効果や効能
DNJはショ糖などの二糖類の分解を抑制し、血糖値が上がるのを防ぎます。このはたらきのおかげで血糖値が急激に上がったり下がったりしないようコントロールします。
DNJは小腸で糖質の吸収を促す「α-グルコシターゼ」という物質と結びつき、「α-グルコシターゼ」そのものの働きを阻害します。
「α-グルコシターゼ」とは、糖の吸収を促す酵素です。
この酵素の働きが阻害されることで糖質の吸収率が下がり、血糖値の上昇を抑制できるため糖尿病の予防にもなるといわれています。
DNJには血糖値の上昇を抑えるだけでなく、糖分の吸収も抑えたり、脂肪の蓄積も防ぎ、代謝を良くする働きもあります。
つまりダイエット効果もあるのです。
桑茶はDNJ以外にも豊富な食物繊維により満腹感を得ることで食べ過ぎを防いでくれます。
さらにこちらも豊富なカリウムがむくみを解消する働きがあります。
これらの相乗効果により桑茶を飲むとダイエットができると期待されています。
実際に桑茶を飲んでダイエットを実践した本も発売されています。
桑の葉茶ダイエット 〜努力なしで最短で10キロ痩せたい人のための「桑茶バイブル」〜
著者の石井さんは色々なダイエットを試したものの、どれもうまくいかなかったそうです。
ですが桑茶を飲み始めてから5ヶ月で12kgのダイエットに成功してリバウンドもないようです。
私も早速読んで見ました。(kindle版で99円と安いです)
桑茶を飲む以外には運動などの「ダイエットに効果があることは何もしていない」と書かれていました。
ダイエットに効果がある桑茶の飲み方は「とにかく、がぶ飲みすること」だそうですよ。
Q3MG(ケルセチン-3-マロニルグルコシド)の効果や効能
こちらも桑茶特有の成分です。
島根県産業技術センターと島根大学医学部の研究グループがポリフェノールの一種である「Q3MG(ケルセチン-3-マロニルグルコシド)」という成分を発見しました。
Q3MGは
- LDL(悪玉)コレステロール値の低下
- 動脈硬化の予防
- 肝機能改善
などに効果があると研究が進められている成分です。
抗酸化成分なので美肌効果も期待できます。
特に島根県産の桑の葉にQ3MGは多く含まれていると言われています。
抗酸化成分SODとβカロテン
抗酸化成分はSOD(スーパーオキシドディスムターゼ)酵素とβカロテンが多く含まれています。
SOD酵素は抗酸化成分の中でも特に強い抗酸化作用があると言われており、βカロテンは一部がビタミンAに変わります。
抗酸化成分は体内で過剰に増えた活性酸素の増加を抑える働きがあります。
活性酸素が過剰に増えると
- 老化(シミしわが増える)
- 細胞や血管の老化⇒生活習慣病などの病気にかかりやすくなる
という悪影響がありますが、
強力なSOD酵素やβカロテン、さらにQ3MGやビタミンC、ビタミンEといった抗酸化成分が桑茶には多く含まれているので、
- 美肌効果
- 生活習慣病などの予防
などが期待されています。
γ-アミノ酸(GABA)
γ(ガンマ)‐アミノ酸、別名GABA(ギャバ)はアミノ酸の一種のグルタミン酸から生成される神経伝達物質です。
GABA(γ-アミノ酪酸)には
- 血圧を下げる
- 悪玉コレステロールや中性脂肪を下げる
- 抗ストレス作用
- リラックス作用
といった効果が期待されています。
最近は抗ストレス用にGABA(ギャバ)のサプリメントも発売されているほどの注目の成分です。
必須アミノと非必須アミノ酸
桑茶にはタンパク質も多く含まれていますが(全体の約2割)、そのタンパク質の材料となるアミノ酸の数は約20種類あります。
そのうちアミノ酸には体内で合成できない(食べ物で摂取するしかない)必須アミノ酸が9種類ありますが、桑茶には全種類含まれています。
そして必須アミノ酸以外には9種類のアミノ酸(非必須アミノ酸)も含まれています。
必須アミノ酸の中で最近注目されているのは
- イソロイシン
- ロイシン
- バリン
これらは「BCAA(分岐鎖アミノ酸)」と呼ばれており運動中のエネルギー源にあります。
さらに疲労回復の働きもあるため、運動前後に摂ると有効です。
また、BCAAは筋肉が活動するときそのエネルギー源としても使われます。
必須アミノ酸BCAAは、ヒトの筋肉の形成や代謝と深く関わりがあり、たくさん摂ることで基礎代謝量が上がり、健康的なダイエット作用が期待できると言われています。
このように必須アミノ酸は成長や精神を安定させるために欠かせない成分です。
一方で非必須アミノ酸の「非必須」は「必須ではない」という意味ではなく「必須アミノ酸ではない」という意味です。
つまり食べ物で摂取しなくてはならない必須アミノ酸とは違い「体内で合成できる(作られる)成分です。
ですが摂らなくて良い成分いうわけではなく食べ物からもしっかり摂る必要があり、多くの効果や効能が期待されています。
非必須アミノ酸の働き・効果や効能
非必須アミノ酸 | 働き・効果・効能 |
---|---|
アルギニン | 筋肉の増強、免疫機能の強化、生殖機能の改善 |
グルタミン酸 | うま味成分。集中力アップややる気を高める |
アスパラギン酸 | 疲労回復、アンモニア解毒、スキンケア |
セリン | 美肌・認知症予防・睡眠の質を上げる |
桑茶で勢力アップ?
そしてアミノ酸が豊富な桑茶は滋養強壮効果があります。
実は桑茶は精力向上効果あると言われるマカを超える効果があるといわれています。
それは桑の葉には強い精力効果が知られている
- アルギニン
- アスパラギン酸
- BCAA
- 亜鉛
といったアミノ酸やミネラル成分が豊富に含まれているからです。
特にアルギニンはマカの約2.5倍も多く、アスパラギン酸とBCAAもマカより多いため精力向上が期待され研究も進められています。
豊富な食物繊維
桑の葉にはたくさんの食物繊維が含まれています。
桑の葉をパウダーにしたタイプでは100gあたり約4割は食物繊維とお茶の中ではもちろん、食べ物の中でもトップクラスの含有量です。
最近は桑茶は青汁の原料にもなっていますが、ケールや大麦若葉よりも食物繊維が多く含まれています。
特に桑 の 葉茶 に 含ま れる 食物繊維 は 消化酵素 で 消化 さ れ にくく、そのまま 大腸 まで 届き ます。
その 結果、 しっかり食物繊維が取れて大腸 まで届き、腸内環境が改善されて、便秘の改善につながります。
食物繊維 が 不足 する と 生活習慣病 の 原因 にもなり かね ませ ん。 腸 内 環境 も 整わ なく なり、 ビタミン、 ミネラル の 吸収 も 悪く なり ます。
食物繊維も日本人が不足している成分ですので、桑茶を飲んで食物繊維を摂るようにしましょう。
豊富なミネラル
桑茶は他のお茶と比べても豊富なミネラルが含まれています。
特に多く含まれているミネラルは下記の種類です。
種類 | 働き |
---|---|
カルシウム(Ca) | 歯や骨の材料となる 精神を安定させる |
マグネシウム(Mg) | カルシウムの量を調節する 筋肉の収縮を促す 酵素の働きをサポート |
カリウム(K) | 余分なナトリウムを排出、 高血圧予防むくみを予防する |
鉄(Fe) | 赤血球の材料となる。貧血予防 酸素を身体のあらゆる細胞へ運ぶ |
亜鉛(Zn) | 酵素の働きをサポート。傷の治り を早くする。味覚を正常に保つ 代謝の促進 |
ミネラルというと「ミネラル麦茶」でおなじみの麦茶を思い出すかもしれませんね。
ですが名前と違って市販の麦茶にはほとんどミネラルが含まれていません。
もちろん麦茶だけでなく、緑茶やミネラルが豊富と言われる杜仲茶よりも桑茶の方あ多く含まれています。
ミネラルが豊富な桑茶を飲みましょう!
そしてこの他にも美容効果が高いビタミン類もたくさん含まれています。
桑茶の効果や効能のまとめ
【健康維持・病気の予防効果】
- DNJ(デオキシノジリマイシン)
- Q3MG(ケルセチン-3-マロニルグルコシド)
- γ‐アミノ酸(GABA)
- 抗酸化成分(SOD酵素、βカロテン、ビタミンA、C、E)
など
【美肌効果】
- Q3MG
- SOD酵素、
- βカロテン
- ビタミンA、C、E
など
【ダイエット効果】
- DNJ
- 食物繊維
- カリウム
【抗ストレス・リラックス】
- γ‐アミノ酸(GABA)
- BCAA(イソロイシン、ロイシン、バリン)
- アスパラギン酸(非必須アミノ酸)
- トリプトファン(必須アミノ酸)
【腸内改善・整腸作用】
- 食物繊維
【滋養強壮・疲労回復】
- アルギニン
- アスパラギン酸
- BCAA
- 亜鉛
- ビタミンB1
そして先ほどは紹介しませんでしたが、
【貧血の予防・改善】
- 鉄分
- ビタミンB12
- 葉酸
- ビタミンC(鉄の吸収をアップさせる)
- 銅
といったさまざまな効果が期待されているのが桑茶です。
今までは青汁といったらケールや大麦若葉といった原料が多かったです。
ですが最近ではケールや大麦若葉よりも栄養価が高く、飲みやすい桑茶を原料とした青汁も増えています。
桑茶のおすすめは
桑茶の正しい選び方とおすすめ商品!ノンカフェインでクセの少ない良質なお茶を飲もう
をご覧ください。
桑茶の飲み方と副作用や摂取量について
桑茶のパウダータイプはお湯に入れるだけでおいしく飲めます。
味にクセがないので、みそ汁やスープ、カレー、お菓子の原料に入れて栄養価を高めるのも良いですね。
また牛乳に入れれば「抹茶ラテ」のようになります。
そしてココアやヨーグルトなどに入れてもおいしいので、おやつの材料に入れるのも良いでしょう。
副作用についてですが、桑茶は薬ではなく、食品なので副作用はありません。
ですが漢方にも桑の葉の部分を使用するなど効果がかなり強力です。
とはいえ、桑茶の摂りすぎで悪影響が出たという報告は今のところありません。
ノンカフェインなので特に1日何倍までというのはなく、たくさん飲んでも寝る前に飲んでも大丈夫です。
心配するとしたら食物繊維が多く含まれているので最初から飲み過ぎるとお腹の調子が悪くなるかもしれません。
初めての方で普段からお腹が敏感の人は少しずつ量を増やしていきましょう。
桑茶を実際に飲んだ感想!1か月過ぎるとどうなる?
私はそれほど太ってはいないのでダイエット効果ではなく美肌効果を期待して飲んでみました。
美肌効果が期待できるお茶はいろいろありますが、私が桑茶に興味を持ったのが、やはりシルクの原料となる蚕のエサという点です。
蚕は桑茶の原料である桑の葉以外ではシルクになる糸を出すことができません。
その理由は今のところわかっていません。
ということは「まだ解明されていない成分があるのでは?」と思い1か月以上続けて飲んでみました。
私は背中の肌荒れが目立っていたので、桑茶を飲んで治らないかなあという軽い気持ちで飲んでいました。
すると1か月ほど過ぎてから背中の肌荒れが目立たなくなっただけでなく、肌がスベスベしてきました。
「わーシルクのような肌!」というと大げさに聞こえるかもしれませんが、本当に見違えるほど変わったので驚きました。
桑茶を飲む以外は食生活に代わりはないので、桑茶が原因としか考えられません。
もちろん個人差はありますし、もともと美肌の人はあまり効果が実感できないと思いますが、肌荒れで悩んでいる人はぜひ1か月程度続けて飲んでみてください。
まとめ
昔の日本は桑畑がたくさんあり、地図の記号もありました。
今は桑畑が激減してほとんど見ることができなくなりましたが、最近は多くの効能が知られてくるようになり、再び注目を集めています。
私は美肌効果を実感できましたが、桑茶でダイエット本も発売されています。
また桑の葉特有の成分であるDNJやQ3MGによる健康効果についても研究が進められています。
やはり漢方の原料にもなるほどですから高い効果が期待できます。
お茶といっても本当にたくさんの種類がありますが、続けるには飲みやすく、ノンカフェインを選ぶ人も多いですね。
桑茶は飲みやすくてノンカフェインですので、小さなお子さんからお年寄りまで、そして妊婦さんにもやさしい飲み物です。
ぜひ1か月だけでも良いので飲んでみて効果を実感してください。
そしてスーパーフードで注目されている「桑の実(マルベリー)」も食べてさらなる効果を期待しましょう!
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