人気のスーパーフードの「モリンガ」は年々注目度が高くなっています。
とは言ってもモリンガは新しい食べ物ではなく、あの世界3大美人のクレオパトラがモリンガのオイルを肌に塗ったり、モリンガのお茶を飲んでいたという話もあるほど昔からある植物です。
ではそのモリンガには私たちにうれしいどのような効果や効能をもたらせてくれるのでしょうか?
今回はモリンガについて詳しく紹介します。
モリンガとは?その特徴と歴史について
モリンガの正式名称は「モリンガオレイフェラ(moringa oleifera)」と言います。
北インド地方が原産でアフリカや東南アジアにも生息するワサビノキ科の亜熱帯性の植物です。
最近では日本でも沖縄など温暖な地域で栽培されています。
このモリンガは
- 葉と花の部分はお茶やハーブ
- 幹や根は薬や食材
- 種はオイル
と余すところなく全て利用することができるという特徴を持っています。
また最近では化粧品や香水にも使われています。
原産地のインドやスリランカでは「300の病気を予防する薬箱の木」と呼ばれるほど多くの効果や効能が期待されていて、
インド・スリランカの伝統医学「アーユルヴェーダ」では5千年以上も前から生薬として使われていました。
最近では栄養失調や貧困、環境問題に対する解決策として注目されており「国連WFP」の食料計画にもモリンガが採用されるほどです。
さまざまな用途と効能から近年欧米でのモリンガの研究がさかんに行われています。
これほどモリンガが古代から現在まで愛用されているのはその栄養価の高さからです。
それは地球上の食べられる植物の中で「最も高い栄養成分を含む植物」と言われ、
「生命の木」や「奇跡の木」とも言われています。
ではそのモリンガにはどのような栄養成分が含まれていて、私たちにうれしい効果や効果をもたらすのでしょうか?
モリンガの注目の栄養成分と効果効能について
モリンガの葉には、現在解明されているだけでも90種類以上の栄養素が含まれています。
単に、種類が豊富というだけでなく、内容量も豊富です。
90種類全部は紹介できなにので、その中でも豊富に含まれている注目の成分とその効果や効能について紹介します。
豊富なタンパク質とその働き
モリンガ100gのうち約27gはタンパク質でできています。
タンパク質は筋肉や内臓から皮膚、爪、髪まで生体全てを作っていて、代謝に欠かせない酵素を作り、エネルギー源としても利用されます。
たんぱく質が不足すると
- 成長の遅延
- 無気力
- 全身のむくみ
- 貧血
- 感染症や合併症
などが起る可能性があるので、しっかりととりたい成分です。
また植物性のタンパク質なので、肉や魚の動物性タンパク質と違い、カロリーや脂質の摂りすぎの心配もありません。
必須アミノと非必須アミノ酸
タンパク質の材料となるアミノ酸の数は約20種類あります。
そのうちアミノ酸には体内で合成できない(食べ物で摂取するしかない)必須アミノ酸が9種類ありますが、モリンガには全種類含まれています。
必須アミノ酸の働き・効果や効能
必須アミノ酸 | 働き・効果・効能 |
---|---|
イソロイシン | ●成長を促進して肝臓や神経の働きを助ける ●筋肉組織の主成分の1つで筋力を強化 |
ロイシン | ●筋肉組織の主成分の1つで筋力を強化 ●肝臓の機能を高める |
リジン | ●疲労回復・集中力を高める●髪の健康(育毛効果) ●肝機能や不妊の改善効果 |
メチオニン | ●かゆみやアレルギーの原因となるヒスタミンの 血中濃度を下げたり、抑うつ効果もある |
フェニルアラニン | ●興奮作用のあるドーパミンなどの神経伝達物質の もとになる。鎮痛作用や抗うつ効果も |
スレオニン | ●成長を促進する作用 ●肝臓に脂肪がたまるのを防ぐ➡脂肪肝予防 |
トリプトファン | ●脳や神経の働きを安定させるセロトニンの元の成分 。鎮痛・催眠効果がある |
バリン | ●筋肉組織の主成分の1つで筋力を強化 ●体の成長を促し、血液中の窒素のバランスを整える |
ヒスチジン | ●子どもの成長に欠かせない成分 ●神経の働きを助けたり、ストレスを軽減する |
必須アミノ酸の中で最近注目されているのは
- イソロイシン
- ロイシン
- バリン
これらは「BCAA(分岐鎖アミノ酸)」と呼ばれており運動中のエネルギー源にあります。
さらに疲労回復の働きもあるため、運動前後に摂ると有効です。
また、BCAAは筋肉が活動するときそのエネルギー源としても使われます。
必須アミノ酸BCAAは、ヒトの筋肉の形成や代謝と深く関わりがあり、たくさん摂ることで基礎代謝量が上がり、健康的なダイエット作用が期待できると言われています。
このように必須アミノ酸は成長や精神を安定させるために欠かせない成分です。
非必須アミノ酸
非必須アミノ酸の「非必須」は「必須ではない」という意味ではなく、必須アミノ酸ではないという意味です。
つまり食べ物で摂取しなくてはならない必須アミノ酸とは違い「体内で合成できる(作られる)成分です。
ですが摂らなくて良い成分いうわけではなく、食べ物からもしっかり摂る必要があり多くの効果や効能が期待されています。
非必須アミノ酸の働き・効果や効能
非必須アミノ酸 | 働き・効果・効能 |
---|---|
アルギニン | 筋肉の増強、免疫機能の強化、生殖機能の改善 |
グルタミン酸 | うま味成分。集中力アップややる気を高める |
アスパラギン酸 | 疲労回復、アンモニア解毒、スキンケア |
プロリン | 美肌・関節痛改善・脂肪燃焼 |
アラニン | スキンケア・肝機能改善(二日酔い予防) |
グリシン | 美肌・睡眠の質を上げる |
セリン | 美肌・認知症予防・睡眠の質を上げる |
チロシン | 記憶力を高め、脳の回転をよくする |
- プロリン
- アラニン
- グリシン
といった非必須アミノ酸にはコラーゲンの主成分でそれぞれ美肌効果があります。
GABA(γ‐アミノ酪酸)の効果や効能
モリンガにはアミノ酸の一種であるγ‐アミノ酪酸も多く含まれています。
γ-アミノ酪酸は別名GABA(ギャバ)と呼ばれる成分ですが、アミノ酸の一種のグルタミン酸から生成される神経伝達物質で、抗ストレス用にGABA(ギャバ)のサプリメントも発売されています。
GABAにはリラックス効果や抗ストレス作用があります。
さらにGABAだけでなく、
- 必須アミノ酸のトリプトファンには脳や神経の働きを安定させるセロトニンの元の成分
- ビタミンCはストレスに対抗する副腎皮質ホルモンであるアドレナリンの分泌を促す作用
- 非必須アミノ酸のグルタミン酸はやる気を高めたり、集中力をアップさせる作用
と元気になる、リラックスできる成分がモリンガには多く含まれています。
その他にもGABA(γ-アミノ酪酸)には
- 血圧を下げる効果
- 悪玉コレステロールや中性脂肪を下げる効果
などが期待されています。
ポリフェノール
モリンガにはワイン8倍のポリフェノールが含まれています。
ポリフェノールといえば強力な抗酸化作用ですね。
それによりシミやしわといった肌の老化を抑えたり、細胞や血管の老化も抑える働きがあるので多くの病気の予防が期待されています。
またモリンガにはビタミンCやEといった抗酸化成分も含まれているので相乗効果が期待できます。
ビタミン類の働き
ビタミンA、B1、B2、ナイアシン、C、Eが特に多く含まれています。
これらの成分を多く含まれているものと比較すると
- ビタミンAはうなぎ(蒲焼)の約7倍
- ビタミンB1は豚肉(ロース生)の約4倍
- ビタミンB2は豚レバー約5倍
そしてビタミンEはモリンガの葉の粉末100gに113mgとトップクラスの含有量です。
- ビタミンA、B、Cは抗酸化成分
- ビタミンB1は疲労回復
- ビタミンB2は美肌効果
などが期待されます。
ミネラルの働きと期待される効果効能
ミネラルは下記の種類が多くふくまれています。
種類 | 働き |
---|---|
ナトリウム(Na) | 体内の水分を調整する |
カルシウム(Ca) | 歯や骨の材料となる 精神を安定させる |
マグネシウム(Mg) | カルシウムの量を調節する 筋肉の収縮を促す |
カリウム(K) | 余分なナトリウムを排出 むくみを予防する |
リン(P) | 歯や骨の材料となる 細胞膜や核酸の構成成分となる |
鉄(Fe) | 赤血球の材料となる。貧血予防 |
亜鉛(Zn) | 酵素の働きをサポート。傷の治り を早くする。味覚を正常に保つ |
銅(Cu) | 赤血球の合成を助ける コラーゲンの材料となる |
この中で
- 鉄分が牛レバーの7倍
- カルシウムは牛乳の19倍
と特に多く含まれています。
特に鉄分は貧血の原因であるヘモグロビンの減少を補う働きがあります。
さらに
- 鉄分の吸収力をアップするビタミンC
- 赤血球の合成を助ける銅
といった成分が多く含まれているので、モリンガは貧血に効果が期待されています。
食物繊維の働きと効果効能
モリンガの全体の約2割は食物繊維です。
食物繊維は腸を刺激し、排便を促しますが大きく分けると2種類あり「水溶性」と「不溶性」の食物繊維があります。
どちらの食物繊維も腸内環境を改善して便通の改善効果が期待されています。
ただし、不溶性食物繊維ばかりを摂ると逆に便秘になってしまう可能性があります。
理想の摂取量は水溶性1に対して不溶性が2の割合なのですが、海藻類や大麦などの穀物以外は不溶性食物繊維の割合が圧倒的に多いです。
ですがモリンガは水溶性1不溶性2と理想的な割合で含まれているため腸内環境が良くなり便秘改善が期待できます。
食物繊維をきちんと摂取することで腸内環境が良くなると便通の改善以外に
- 免疫力のアップ
- 老廃物が体外に出る⇒美容・健康効果
なども期待できます。
モリンガの効果や効能のまとめ
①生活習慣病などの病気の予防
- ポリフェノール(抗酸化作用)
- ビタミンA・C・E(抗酸化作用)
- GABA(血圧・中性脂肪などを下げる)
②美肌効果
- ポリフェノール(抗酸化作用)
- ビタミンA・E(抗酸化作用)
- ビタミンC(メラニン色素の合成を抑える)
- プロリン(コラーゲンの主成分)
- アラニン(コラーゲンの主成分)
- グリシン(コラーゲンの主成分)
④ストレス・疲労回復・リラックス効果
- GABA(リラックス・抗ストレス)
- トリプトファン(神経の安定)
- ビタミンB1(疲労回復)
- ビタミンC(抗ストレス)
⑤貧血の予防・改善
- 鉄分(ヘモグロビンの減少を補う)
- ビタミンC(鉄分の吸収力アップ)
- 銅(赤血球の合成を助ける)
⑥便秘改善・整腸作用➡免疫力アップ
- 食物繊維
今回は主な効果や効能を紹介しましたが、7大栄養素と言われる
- タンパク質・脂質・炭水化物(3大栄養素)
- ビタミン・ミネラル(合わせて5大栄養素)
- 食物繊維(第6の栄養素)
- ファイトケミカル(ポリフェノールなど・第7の栄養素)
これらがバランス良く含まれているモリンガは300の病気を予防する「薬箱の木」と言われています。
紹介した効果以外で悩まれている方もぜひモリンガを試してみてください。
モリンガの食べ方や使い方や味について
モリンガの葉はパウダータイプや錠剤、お茶として販売されています。
ただモリンガ茶はティーパックとして販売されているものが多く、それだと全ての成分がお湯に溶けないて使用済みのティーバッグに残ってしまうので、もったいない気がします。
それよりも粉末茶のようなモリンガパウダーを利用しましょう。
見た目は青汁のような感じですが、青汁よりもかなり飲みやすくスムージーに混ぜるのもおすすめです。
ただやはりモリンガ独特の味がするので、苦手と思う人もいるかもしれません。
私も最初はモリンガ茶のティーバッグタイプを飲んでいたのですが、味が苦手で続きませんでした。
ですがパウダーであれば味が濃い食べ物や飲み物に入れてもそれほど気になりません。
このような点でもモリンガはパウダータイプを選ぶと良いでしょう。
またお子さんが野菜嫌いで食べないという場合は、さまざまな料理にモリンガを混ぜてみてください。
モリンガパウダーを入れても料理の味が変わるこということはないので、野菜不足を解消できますよ。
ただし、混ぜて飲むのは面倒だという人は錠剤タイプもあるので、簡単に摂取できます。
モリンガオイルの使い方
モリンガはオイルもおすすめです。
使い方は
①化粧水にモリンガオイルを1滴たらして顔にぬる
②リップクリームの代わりに1,2滴をくちびるにぬる
③爪や指先に数滴ぬる(指先を温めてからぬりましょう)
➃髪を洗ってふいた後、ドライヤーする前に、数滴を手のひらになじませてから毛先を中心にぬる
⑤お風呂上りに肌が荒れしているところや乾燥しているところに数滴手になじませてからぬる
このように気になる肌や爪、髪に塗ることで効果が期待できます。
モリンガ摂取の際の注意点!妊娠中は避けたほうが良い理由
多くの効果や効能が期待されているモリンガですが、妊娠中の方は注意が必要です。
それは厚生労働省のホームページのMoringa oleifera(いわゆるモリンガ、ワサビノキ)についてによると、
モリンガの葉の抽出物を妊娠ラットに対し高用量を経口投与したところ、流産がみられたとの文献報告がありました。
といった内容の報告があったからです。
これは外国で販売されているモリンガの加工品でのことなので、その商品の質が悪かっただけかもしれません。
モリンガが本当に妊婦に悪影響を及ぼすものなのかは疑わしいところです。
流産は動物によるもので、現在まで妊婦の方がモリンガの摂取が原因で流産したという事例はありませんが、念のため避けたほうが良いでしょう。
実際にモリンガは人気が出るとともに、品質の悪いものが出回っています。
最近はたくさんモリンガの葉が取れるようにと遺伝子組み換えで葉がたくさん生えるモリンガもあるようです。
商品を選ぶ際は有機栽培されているものなど良質なものを購入するようにしましょう。
まとめ
「300の病気を予防する薬箱の木」と呼ばれるほど多くの効果や効能が期待されているモリンガは伝統医学「アーユルヴェーダ」では5千年以上も前から生薬として利用されています。
このように長い歴史のあるモリンガですが、まだまだ解明されていないことがたくさんあると言われています。
今回紹介した効果や効能以外にも新しい発見があるかもしれません。
さまざなま体い良いと言われる食べ物を食べても、今一つ効果を実感できない人はぜひモリンガを試してみてくださいね。