ここ数年はチアシードなどのスーパーフードが話題になっていますが、その中でも特に注目されているのが「ヘンプシード」です。
一部で危険性も指摘されていますが、全く問題ありません。
逆に世界的な長寿の地域ではヘンプシードを常食しているほどの若返りが期待できる食べ物です。
ヘンプシードとはどのような食べ物なのか、効果効能を中心に注目の栄養成分や食べ方についても紹介します。
ヘンプシードとは?その危険性について
ヘンプシードのヘンプは「麻」のことで、日本語でヘンプシードは「麻の実」と呼ばれます。
ヘンプ(麻)は中央アジア原産のアサ科の植物で、麻の実は食用となり油をしぼることもできます。
実際にネットショップなどでは「ヘンプ(シード)オイル」として販売され、健康に良いと人気のある食用油です。
茎からは丈夫な繊維(麻)がとれるため世界各地で繊維の利用や食用のために栽培されてきました。
日本では縄文時代から、世界の各地でも文明圏で1万年も前から利用されてきた食べ物です。
麻と呼ばれる植物は約20種類あると言われていますが、「大麻(マリファナ)」も麻の一種です。
大麻は中毒性があるとして大麻取締法により吸うことはもちろん所持も違法で、栽培は許可制になっています。
違法である理由は大麻に含まれているTHC(テトラヒドロカンナビノール)という成分に精神作用 が あり、 これ が ドラッグ の よう な ハイ を もたらす と 考え られ て い ます。
一方でヘンプはこの陶酔成分(THC)が生成されないように改良されたものなので安心です!
呼び方も
- 大麻はカンナビス(cannabis)
- 産業用の麻はヘンプ(henmp)
と違いがあり全く別物です。
ヘンプはエコでヘルシーな植物なので危険性は全くありません。
実際に多くの人は既にヘンプシードを食べているはずです。
実は「七味唐辛子」にも入っている比較的大きな実がヘンプシードです。
このように実際に意識をしなくても、多くの人が食べているので危険性は全くありません。
また、ヘンプは成長が早く成長の際に大量の二酸化炭素を消費するため、近年、エコな植物として見直されています。
さらにヘンプは農薬や肥料をほとんど必要としないため安全性の評価も高く、欧米ではチアシードに続くスーパーフードとして注目されています。
ヘンプシードの注目の栄養成分と効果効能について
ヘンプシードには驚くほどの健康に良い栄養成分が含まれています。
良質なタンパク質
ヘンプシードの成分のうち最も多いのはタンパク質で約32%を占めています。
タンパク質が多い食べ物の含有量
- スピルリナ:65~70%
- 大豆: 34.3%
- 牛肉: 19.3%
- 卵: 12.7%
- 魚: 20.0%
- ヘンプシード:32.0%
- チアシード:16.0%[/su_box]
同じスーパーフードのスピルリナほどではないにしても、たんぱく質が多いと言われる肉や魚、卵よりも多いですし、大豆とそれほどかわりません。
筋肉、臓器、皮膚、毛髪、ホルモンや酵素、免疫物質、血液など人体の大部分はタンパク質で構成されていて体内で常に合成と分解を繰り返しています。
「タンパク質が不足」すると
- 筋力量が減って体力が落ちる
- 疲れやすくなる
- 免疫力も下がる
となることも多く、病気にもかかりやすくなります。
さらにそれだけではなく
- 記憶力の低下
- 肌荒れや髪が傷む
- 太りやすく、やせにくい体質
といったマイナス面もあります。
タンパク質がバランスよく含まれている食べ物は卵、肉、魚、乳製品などがあります。
ただし、これらのタンパク質は動物性なので食べ過ぎると脂肪分を取りすぎてしまう傾向にあり、消化する際に身体に負担がかかってしまいます。
ヘンプシードは植物性たんぱく質では他に見ない「 エデスチン 」と呼ばれるタンパク質を含み、消化しやすく、吸収されやすい構成をしています。
また、植物性タンパク質の代表として大豆がよく知られています。
ですが、大豆タンパクにはアレルギー物質が含まれていますし、遺伝子組み換えの心配もあります。
一方、ヘンプシードはアレルギーや遺伝子組み換え、農薬の心配もありません。
またヘンプシードのタンパク質は大変消化されやすい構造をしています。
良質な植物性のタンパク質を摂るならば消化されやすく、安全性の高いヘンプシードをおすすめします。
必須アミノ酸
タンパク質が豊富ということは、タンパク質を構成するアミノ酸も豊富に含まれています。
実際にタンパク質を構成するアミノ酸は20種類と言われていますが、その20種類のアミノ酸のうち体内で作ることができず、食べ物からとる必要がある9種類のアミノ酸を「必須アミノ酸」と言います。
ヘンプシードはこの必須アミノ酸9種類を全て含んでいます。
必須アミノ酸の働きや効果・効能
必須アミノ酸 | 働き・効果・効能 |
---|---|
イソロイシン | ●成長を促進して肝臓や神経の働きを助ける ●筋肉組織の主成分の1つで筋力を強化 |
ロイシン | ●筋肉組織の主成分の1つで筋力を強化 ●肝臓の機能を高める |
リジン | ●疲労回復・集中力を高める●髪の健康(育毛効果) ●肝機能や不妊の改善効果 |
メチオニン | ●かゆみやアレルギーの原因となるヒスタミンの 血中濃度を下げたり、抑うつ効果もある |
フェニルアラニン | ●興奮作用のあるドーパミンなどの神経伝達物質の もとになる。鎮痛作用や抗うつ効果も |
スレオニン | ●成長を促進する作用 ●肝臓に脂肪がたまるのを防ぐ➡脂肪肝予防 |
トリプトファン | ●脳や神経の働きを安定させるセロトニンのもとの 成分。鎮痛・催眠効果がある |
バリン | ●筋肉組織の主成分の1つで筋力を強化 ●体の成長を促し、血液中の窒素のバランスを整える |
ヒスチジン | ●子どもの成長に欠かせない成分 ●神経の働きを助けたり、ストレスを軽減する |
このように必須アミノ酸は成長するうえで欠かせない成分が含まれていますが、その中でも最近注目されているのは
- イソロイシン
- ロイシン
- バリン
といった3つの成分です。
これらは「BCAA(分岐鎖アミノ酸)」と呼ばれており運動中のエネルギー源にあります。
さらに疲労回復の働きもあるため、運動前後に摂ると有効です。
αリノレン酸が豊富
ヘンプシードには必須脂肪酸がバランスよく含まれていて食用油のヘンプシードオイルとしても注目されています。
特に注目されているのがオメガ3脂肪酸のαリノレン酸です。
αリノレン酸は人気の健康油である「えごま油」や「亜麻仁油(アマニ油)」に含まれていることで注目されています。
また、αリノレン酸の特徴として、その一部(約15%)が青魚などに含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)に変換されます。
αリノレン酸やEPA,DHAといったオメガ3脂肪酸を摂取することで期待されている効果効能は下記の通りです。
※一部の効果・効能は科学的データが不十分なものもあります。
- 認知症の予防
- 記憶学習能力の向上(子供の脳の発育に効果)
- 血流改善、血栓予防効果
- アレルギー抑制(花粉症、アトピー性皮膚炎など)
- 老化予防(アンチエイジング)
- うつの軽減
- 中性脂肪・血中コレステロールの軽減
- 高血圧の予防
- 糖尿病の予防
- 動脈硬化・不整脈の予防
- 脳卒中の予防
- ガンの予防(特に乳がん、肺がん、大腸がんに有効)
- 視力アップ
- 脂肪肝の予防
- ダイエット効果
- 美容・美肌効果
とざっと挙げただけでもさまざまな美容や健康に効果や効能があることがわかりますね。
ヘンプシードオイルのαリノレン酸の含有量はえごま油や亜麻仁油と比べると半分位の量ですが、他の植物油と比べるとはるかに多く含まれています。
注目の成分γ(ガンマ)リノレン酸
γリノレン酸は月見草から発見された成分で、スーパーフードのスピルリナなどごくわずかの植物にしか含まれていません。
γリノレン酸の効果や効能は
- 血糖値や血圧を下げる
- 生活習慣病の抑制
- アトピー性皮膚炎の抑制
- 月経前症候群(月経前のイライラや胸の張り、むくみ、頭痛などの症状)
などに対する効果があると言われています。
最近はαリノレン酸、γリノレン酸ともに不足しがちの人が多いと言われていますが、ヘンプシードオイルであれば大さじ1杯程度(ヘンプシードなら20g程度)で成人が1日に必要とする摂取量をクリアすることができます。
ヘンプシード特有成分カンナビスA
カンナビスAはヘンプシードのみ含まれる成分でポリフェノールの一種です。
強力な抗酸化作用が期待されている成分で、まだ研究段階ですが抗酸化作用・抗老化作用が注目されています。
中国の広西チワン族自治区巴馬(バーマ)県は麻の実(ヘンプシード)を常食していますが「長寿の里」として知られています。
「長寿の里」として有名になったのは、
- 1981年にドイツで行われた第12回国際老年医学会で「世界長寿地帯」として認定
- 1991年11月1日に東京で開かれた第13回国際自然医学会で「世界五大長寿」の里として認定
この地区では麻の実スープや麻の実粥を好んで食べたり、主食のトウモロコシ粥(かゆ)を食べる前にスプーン1~2杯分の麻の実油(ヘンプシードオイル)をお粥に垂らしてから食べています。
このように長生きするということは老化の促進を抑えているからということですから、カンナビスAの強力な抗酸化作用によるものではないかと期待されています。
ヘンプシードはアンチエイジング対策の注目の食べ物です。
豊富なミネラル
ヘンプシードはミネラルが豊富で特に鉄、銅、亜鉛、マグネシウムの含有量は食物の中でもトップクラスです。
ヘンプシードは大さじ1杯(25g)で1日に必要な量の
- 鉄:34%
- 銅:70%
- 亜鉛:42%
- マグネシウム:103%
を摂取することができます。
鉄:赤血球をつくるのに必要な栄養素で、不足すると 疲れやめまい、貧血、頭痛、食欲不振などがおこりやすくなる
銅:血球の形成や体内酵素の正常な働きを助ける
亜鉛:味覚を正常に保つのに必要な栄養素で皮膚や粘膜を健康に維持するにも欠かせない成分。
マグネシウム:骨や歯の形成に必要栄養素
豊富な食物繊維
ヘンプシードには食物繊維の2種類のうち不溶性食物繊維が豊富に含まれています。
100gあたりの食物繊維の量は多いイメージのある
さつまいもが2.4gおからが9.4gに対しヘンプシードは41.3gと圧倒しています。
不溶性食物繊維は腸の動きを活発にして腸内の老廃物を吸着して体外への排出を促すので便秘改善やおなかの調子を整えたい方におすすめです。
このようにタンパク質や食物繊維が特に豊富で、脂肪酸では希少はαリノレン酸、γリノレン酸も含まれており、健康維持や美容に効果が期待されています。
ヘンプシードの味や食べ方は?
ヘンプシードの見た目は胡麻のようですが、味はくるみのような感じでとても美味しく食べやすいのでどんな料理にも合います。
ヘンプシード以外では麻の実の殻を取り除いた
- 「ヘンプシードナッツ(麻の実ナッツ)」
- 「ヘンプシードパウダー」
- 「ヘンプ(シード)オイル」などがあります。
食べ方としてはヘンプシードやナッツ、パウダーは欧米ではサラダやシリアル、ヨーグルト、スムージーに入れて食べることが
多いですが納豆に入れても美味しいです。
また炊いたご飯1合分にヘンプシード大さじ2~3杯塩適量と太白ゴマ油を少々入れてお好みでシソや梅干を加えて「ヘンプシードおにぎり」としてもよく合います。
ヘンプシードオイルはえごま油や亜麻仁油と一緒で熱に弱いので炒め物、揚げ物には向いていません。
サラダにかけたり、ビザやトーストにぬったりとのまま色々な食べ物にかけて食べるのがおすすめです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
ヘンプシードは麻の実のことで、つまり大麻と関係ありますが、陶酔成分が生成されないように改良されたものなので安心して食べることができます。
そして栄養価も高く、αリノレン酸やγリノレン酸といった希少な成分が含まれているのも特徴です。
また長寿の地域ではヘンプシードを常食しているということで、アンチエイジング最適の食べ物ではないかと研究が進められています。
最近はテレビでも徐々に紹介されていますが、これから益々注目されることは間違いなしですね。
まだスーパーなどではあまり見かけませんがネット通販では色々販売していますので、美容と健康に効果的なヘンプシードを是非一度試してみてください。