「亜麻仁(アマニ)油」は健康や美容に最適な油として人気がありますね。
では亜麻仁油の注目の成分やその効果・効能についてご存知でしょうか?
その他にも
- 同じオメガ3系オイルのえごま油やグリーンナッツオイルとの違い
- 1日の摂取量
- 食べ方や使い方
- 取り扱いの注意点
など亜麻仁油について詳しく紹介します。
亜麻仁油とは?その特徴について
亜麻仁(アマニ)油は亜麻(アマ)という植物の種子から取れる油です。
こちらは亜麻の花ですが、とってもキレイですね。
亜麻の種子のことを亜麻仁(アマニ)と呼び、その種子から抽出したオイルを亜麻仁油と呼びます。
亜麻仁油は何系のオイル?
食用油には含まれる脂肪酸の種類と割合によって何系のオイルか決まります。
亜麻仁油は不飽和脂肪酸のオメガ3系脂肪酸が多く含まれているため、
- えごま油
- グリーンナッツオイル(サチャインチオイル)
- チアシードオイル
などと同じオメガ3系オイルです。
現代人はサラダ油に多く含まれるオメガ6系オイルのリノール酸を過剰摂取している傾向が強いです。
一方でオメガ3系脂肪酸は逆に不足ぎみの人が多いのが現状です。
亜麻仁油に含まれる脂肪酸の種類と割合
脂肪酸の種類 | 割合 |
---|---|
α-リノレン酸 | 56% |
オレイン酸 | 18% |
リノール酸 | 15% |
その他 | 11% |
※産地などによって多少違いあり
亜麻仁油にはオメガ3系脂肪酸の一種のαリノレン酸が多く含まれています。
このα‐リノレン酸の一部(10~15%程度)は同じオメガ3系脂肪酸の一種で青魚などに多く含まれる
- EPA(エイコサペンタエン酸)
- DHA(ドコサヘキサエン酸)
に変換されます。
EPAは血液を固まりにくくし血管をしなやかに、DHAは赤血球や細胞膜や血管壁を柔らかくします。
これらの働きにより血液がサラサラになる期待されている成分です。
そして脳の血流も良くしたり、弱った脳の神経細胞を刺激して認知症の予防や記憶力もアップすると言われています。
昔流行った曲で「おさかな天国」という曲があって「さかなを食べると頭が良くなる」という歌詞がありましたが、それはDHAの働きのことを指しています。
そして厚生労働省でも実際にα‐リノレン酸やDHA・EPAであるオメガ3脂肪酸を摂取するように推奨しています。
亜麻仁油に期待される効果や効能
α‐リノレン酸及びDHA・EPA
- 認知症の予防
- 記憶学習能力の向上(子供の脳の発育に効果)
- 血流改善、血栓予防効果
- アレルギー抑制(花粉症、アトピー性皮膚炎など)
- 老化予防(アンチエイジング)
- うつの軽減
- 中性脂肪・血中コレステロールの軽減
- 高血圧の予防
- 糖尿病の予防
- 動脈硬化・不整脈の予防
- 脳卒中の予防
- ガンの予防(特に乳がん、肺がん、大腸がんに有効)
- 視力アップ
- 脂肪肝の予防
- ダイエット効果
- 美容・美肌効果
ざっと挙げただけでも本当に色々と効果がありますね。
αリノレン酸はどの年代にも必要な成分で
- 子供には脳の発育や記憶学習能力の向上
- 大人の女性には老化予防(アンチエイジング)、美容・ダイエット
- 大人の男性やお年寄りには生活習慣病の予防や認知症の予防
幅広い年齢層に毎日摂取してもらいたい成分です。
リグナン
リグナンはポリフェノールの一種で腸内細菌によって非常に強力な抗がん物質に変化します。
リグナンは体内でエンテロラクトンという物質をつくる材料になりますが
これが大腸ガン、乳ガン、子宮ガン、卵巣ガン、前立腺ガンなどの女性ホルモンが関わるガンを予防します。
またインフルエンザやヘルペス、A型肝炎、B型肝炎などのウィルスに対抗し、
免疫システムを促進するパワフルな働きをすることもわかっています。
- 更年期障害の軽減
- 心臓疾患の改善
- 便通の改善
- アレルギーの抑制(花粉症・アトピーなど)
- 糖尿病予防
- 生理不順
- 関節炎
- 慢性疲労
- 片頭痛
- 皮膚炎
- 精神疾患
以上がアメリカでの臨床実験により医学的な効果があるとして報告されています。
その他の成分ではビタミンEが含まれていますが、食用油の中では特に多いというわけではありません。
ですが、ビタミンEには抗酸化作用があり、血液をサラサラ(血流改善)にする効果もあります。
α‐リノレン酸にも血流改善の効果があるので、ビタミンEとの相乗効果も期待されています。
ただし、亜麻仁油は薬ではないので即効性はありません。
そのため、数日食べただけでは効果は得られないため、継続して摂取する必要があります。
また、α‐リノレン酸やリグナンの効果や効能に関しては、実際にさまざな実験で報告はされていますが、医学的に証明されたものではありません。
そして亜麻仁油と書いてあれば、どの油にも同じような成分が含まれているというわけではなく、リグナンは含まれていない商品もあります。
亜麻仁油の正しい選び方
多くの効果や効能が期待できる亜麻仁油ですが、この人気に便乗して品質の低い商品も出回っているようです。
まず、ちゃんと遮光されている瓶に入っているか、原産国がきっちり書いているかなど確認してから買うようにしましょう。
そして一番大事なのは製造方法です。
原材料の栄養成分を損ないようにするには、「低温圧搾製法」または「コールドプレス製法」と書いてある商品を選ぶようにしましょう。
また、「精製オイル」か「未精製オイル」かのチェックも必要です。
「未精製」のオイルの不純物、香り、匂いを取り除いたものが「精製」です。
加熱したり、化学処理を加えて、この不純物を取り除いたオイルを「精製オイル」といいます。
精製オイルの代表といえば「サラダ油」です。
サラダ油のように原材料から効率的に油を抽出するために危険性の高い溶剤を使用し、製造時間を短縮するために高温処理された油ではトランス脂肪酸の発生だけでなく、栄養成分を損なってしまいます。
最近ではサラダ油と同じような製法で販売されている質の低い亜麻仁油も販売されているようです。
品質の低い亜麻仁油でも脂質のα‐リノレン酸は残っていますが、リグナンに関しては全く含まれていません。
溶剤を使用せず、低温圧搾製法で油を抽出し、加熱処理などをしない未精製オイルは効率よく油を抽出できず、製造時間もかなりかかってしまうので、どうしても価格が高くなってしまいますが、これが本物の油です。
低温圧搾製法やコールドプレス製法の食用油は商品のパッケージに必ず記載されているので、チェックしてから購入しましょう。
亜麻仁油のおすすめの商品は
亜麻仁油のおすすめ品と正しい選び方!加熱料理にも使える商品があるって本当?をご覧ください。
アマニ油の1日の摂取量
えごま油やアマニ油などに含まれているオメガ3系脂肪酸の摂取量は厚生労働省が定めています。
厚生労働省が定めるオメガ3系脂肪酸の摂取基準
年齢 | 目安量 | 目安量 |
---|---|---|
男性 | 女性 | |
50~69歳 | 2.4g以上 | 1.6g以上 |
4-1 | 2.2g以上 | 1.6g以上 |
5-12 | 2.1g以上 | 2.0g以上 |
6-12 | 2.0g以上 | 1.9g以上 |
ではアマニ油をどれくらい摂ると摂取基準に達するかというと
1日の摂取量は小さじ1杯(約4.6g)で十分です。
ではこれだけ健康に良い油ならば2杯、3杯と食べて良いのでしょうか?
実際に厚生労働省の研究資料があります。
それによると日本人の高齢者を対象した研究ではαリノレン酸の1日の摂取量を10か月間4.8g(約大さじ2杯分)摂取したところ、
- LDL(悪玉)コレステロール、酸化LDLの増加が認められない
- 主要な血液検査での異常も認められていない
という結果が出ています。
この結果だけですと大さじ2杯でも問題ないことがわかります。
ですが欧米ではα‒リノレン酸摂取量の 増加が「前立腺がんのリスク」になることを示す研究報告があります。
ただ前立腺がんのリスクが高くなるという研究が7つある一方で、関連しない(リスクがない)とする研究も2つあります。
一方で最近のα‒リノレン酸摂取量と前立腺がんの罹患リスクを調べた観察研究では
- リスクとなる報告が95
- リスクとならない報告が97
ほぼ同じくらいの数なので、これではどちらが正しいのかわかりませんね。
前立腺がんは男性のみかかる病気なので、もし小さじ2杯以上摂りたいという男性は万が一ではありますが、リスクがあることを知って食べる必要があります。
女性は前立腺がんに関係ないのでαリノレン酸のことだけを考えれば2杯以上飲んでも構いません。
ただ何倍も飲むとカロリーがオーバーしてしまいます。
食用油はどれも同じカロリーです。
体に悪いサラダ油も健康に良いアマニ油もカロリーがほぼ同じなので摂り過ぎは注意が必要です。
油の小さじ1杯は37キロカロリーで、アマニ油も同じカロリーです。
健康や美容、ダイエットに良いからとα-リノレン酸を摂るために、カロリーオーバーにはならないようにしましょう。
また、多くの日本人はサラダ油などに多く含まれているオメガ6系のリノール酸を摂りすぎる傾向にあります。
アマニ油も脂質の15%はリノール酸です。
それを考えると、小さじ2杯、3杯と食べるのはリノール酸の過剰摂取につながる可能性もあります。
毎日食事に気を付けていて、運動も定期的にやっているような健康な人以外は最初は小さじ1杯にしましょう。
亜麻仁油の注意点とおすすめの食べ方!加熱調理は可能か?
亜麻仁油の取り扱いの注意点はオメガ3系オイルは他の食用油と比べて酸化しやすいという点です。
未開封の時は直射日光を避けて暗くて涼しい場所に保管し、開封後は冷蔵庫で保管する必要があります。
また開封後は賞味期限にかかわらず6週間程度で使い切るようにしてください。
※賞味期限はあくまで未開封状態の場合です
亜麻仁油は熱に弱いのは本当?
亜麻仁油に限らず、えごま油などのオメガ3系オイルは熱に弱いα‐リノレン酸が豊富に含まれているから、加熱料理には向いていないと一般的に言われています。
ですが、揚げ物はダメだとしても、炒め物もダメなのか不思議でした。
以前亜麻仁油を使って、軽く炒め物料理に使用したのですが、特に問題もなく炒めることができました。
ただ見た目は問題なくてもα‐リノレン酸が無くなってしまったり、半減してしまっては意味がないと思い調べてみました。
すると「日本栄養・食糧学会誌」でエゴマ (シソ) 油の加熱安定性と食品成分添加の影響という研究結果が報告されていました。
亜麻仁油ではありませんが、同じオメガ3系オイルのえごま油でα‐リノレン酸の含有量もほぼ同じくらいの量なので、とても参考になります。
それによると、
抗酸化剤無添加の精製エゴマ油を180℃で10時間加熱し, 経時的に油のAV, POV, CV, p-An. V, Toc量と脂肪酸量の変化を調べた。
1) 180℃, 70分までの短時間加熱では, ダイズ油に比べてエゴマ油の劣化は若干進んでいたが, α-リノレン酸の残存率も90%以上であり, 栄養的にも食品衛生上も支障があるほどではなかった。
という結果が出ています。
180℃, 70分までの短時間加熱では若干α‐リノレン酸の量が減ったものの、ほとんど問題ないとうことがわかりました。
一般な焼き始め温度は、
- 卵焼きやホットケーキが150~160℃
- ハンバーグやギョウザは170~180℃
- 炒め物は200℃くらい
と言われています。
「これならば亜麻仁油でも加熱して良いんだ~」と思うかもしれませんが、これは精製されたえごま油です。
では未精製の亜麻仁油ではどうなのかというと、これも問題ありません。
昭和女子大学大学院生活機構研究科による「食用亜麻仁油の加熱調理における劣化の程度及び嗜好評価」によると、
未精製の亜麻仁油を
- 190℃の加熱したフライパンでもやしを炒めた
- 加熱後3分間で210℃
- 加熱後3~9分間で210~270℃まで上昇
という条件で試した結果
- 6分間の加熱では安全な範囲
- 3分間の加熱は大豆油との劣化度の差はない
- 3分及び4.5分の加熱では味が良く、総合的に好ましい
と報告しています。
つまり6分以内であれば安全に食べられるということです。
この実験ではα‐リノレン酸の量の増減については調べていませんが、油が劣化してないのであれば、α‐リノレン酸が大幅に減るとは考えにくいです。
「亜麻仁油=加熱量に向かない」というイメージでしたが、短時間であれば問題ないということがわかりました。
もちろん温めた食べ物や熱い飲み物に入れる分には全く心配いりません。
亜麻仁油の味やニオイはクセがある?
亜麻仁油が無味無臭であれば、そのままスプーンですくって飲んだり、サラダにかけたりして食べるのがおすすめなのですが、結構味やニオイにクセがあります。
苦手な味かどうかは個人差があるので、大丈夫な人はそのままでも問題ないのですが、多少苦手な味やニオイというのであれば、味が濃い食べ物にまぜて食べるのがおすすめです。
- ピザやパスタにかける
- 炒めの物にかける
- みそ汁やスープに混ぜる
- アイスクリームにかける
などがおすすめです。
「アイスに油をかけるの?」と思うかもしれませんが、あまり気になりません。
テレビ番組でもアイスクリームにかけて食べているという人もいましたので、ぜひ味やニオイが苦手な人は試してみてください。
そのままでも問題ない人は納豆にかけたり、卵かけごはんに混ぜてもおいしく食べられます。
味が苦手だと、いくら健康によくても長続きしないので、ぜひ自分がおいしいと思う食べ方を見つけてください。
まとめ
現代人は脂質の摂りすぎと言われていますが、それはオメガ6脂肪酸のリノール酸の摂りすぎであって、α‐リノレン酸などのオメガ3脂肪酸は不足ぎみの人が多いです。
これはオメガ3脂肪酸を豊富に含む食べ物が少ないからなのですが、アマニ油であれば小さじ1杯で厚生労働省が推奨している目標の摂取量に届きます。
味やニオイが独特なので、スプーンですくってそのまま食べるのは苦手という場合は濃い味の食べ物に入れて混ぜて食べるようにしましょう。
また亜麻仁油は熱に弱いと言われていますが、多少であれば加熱しても問題ありません。
継続して摂取しないと効果は期待できませんので、ぜひ亜麻仁油をまずは1か月試してみましょう。
【関連記事】
亜麻仁油のおすすめ品と正しい選び方!加熱料理にも使える商品があるって本当?