最近はお酢の効果や効能をテレビ番組や書籍などで紹介されるのをよく見かけるようになりました。
ただお酢もリンゴ酢や米酢、バルサミコ酢などたくさん種類があってどのような違いがあるのか悩んでしまいますね。
そのお酢の中でも高い効果が期待できるのが黒酢です。
では黒酢は他のお酢とどのような違いがあるのか、
注目の栄養成分や効果・効能を中心に紹介します。
黒酢とは?その特徴と他のお酢との違いについて

お酢は大きく分けるとりんご酢やなどの果実酢と米酢などの穀物酢の2種類があります。
黒酢は穀物酢のひとつで米酢と同じで原料は米を使用します。
では黒酢と米酢の違いは何でしょうか?
黒酢と米酢の違い
米酢は精米(白米)から作られます。
一方、黒酢は収穫された米からもみがらだけを取り除いた「玄米」を使用します。
白米はおいくて食べやすいですが、黒酢と比べるとビタミンやミネラル、食物繊維などの栄養価が低いです。
そのため栄養価が高い玄米を原料とした黒酢の方が健康と美容のためにはおすすめです。
ではその黒酢にはどのような栄養成分が含まれていて、私たちに多くの効果や効能をもたらすのでしょうか?
黒酢に含まれている注目の栄養成分と効果効能について
①お酢共通の成分「酢酸」
お酢共通に含まれている成分の代表的なものは「酢酸」です。
お酢の「ツーン」としたニオイは酢酸によるものです。
この酢酸には
- 血糖値を下げる
- 血圧を下げる
- 内臓脂肪を減らす
という3つの効果が期待されているすが、一つの食品でこの3つの効果が同時に得ることができる食べ物はお酢だけです。
血糖値を下げる働き
糖質の多い食べ物を食べると血糖値が急激に上がり、血管にダメージを与えます。(これを血糖値スパイクともいいます)
ですがお酢を食事と一緒に摂ることで血糖値の上昇を抑えることができます。
血圧を下げる働き
血圧は加齢や不規則な生活、暴飲暴食、運動不足などが原因で血管が細くなったり、血液がドロドロになることで高くなります。
この高血圧に対して酢酸からできるアデノシンが血管を広げて血圧を下げる働きがあります。
酢酸以外にはアミノ酸一種であるアルギニンも血管を拡張させる働きがあります。
内臓脂肪を減らす働き
酢酸が肝臓で代謝される際にAMPKという酵素が活性化します。
このAMPKは糖から脂質を合成する回路を抑制し、脂質の燃焼を促進します。
AMPKは運動後に体内に生じる酵素ですが、お酢を摂ることでもAMPKが体内に生じます。
つまりお酢を摂ると運動したのと同じ酵素が生じるわけです。
このようにうれしい3つの効果が期待できる食べ物は「お酢」だけです。
美肌効果
酢酸には健康効果だけでなく、美肌効果もあります。
酢酸はビタミンCの破壊酵素の働きを弱める働きや、新陳代謝を盛んにして肌の老廃物を残さない為シミ・しわが出にくいといった美肌効果もあります。
豊富な必須アミノ酸と非必須アミノ酸
黒酢はお酢の中でも必須アミノ酸の種類及び含有量ともに断トツで豊富です。
タンパク質は20種類のアミノ酸から作られています。
通常アミノ酸を摂るには、まず食事をして、タンパク質を肝臓でアミノ酸へと変換させる必要があります。
消化や分解といった工程がいるので、体内に吸収するためには時間がかかり、効率が良くありません。
一方で黒酢の場合は、初めからアミノ酸の状態で摂ることができるので、直接体内に吸収できるので、とても効率的です。
たんぱく質を作るアミノ酸には体内で合成できない(食べ物で摂取するしかない)必須アミノ酸が9種類ありますが黒酢にはそのうち8種類含まれています。
※一般的には8種類ですが、産地によっては9種類すべて含まれている黒酢もあります。
必須アミノ酸の働き・効果や効能
必須アミノ酸 | 働き・効果・効能 |
---|---|
イソロイシン | 成長を促進して肝臓や神経の働きを助ける、 筋肉組織の主成分の1つで筋力を強化 |
ロイシン | ●筋肉組織の主成分の1つで筋力を強化 ●肝臓の機能を高める |
リジン | 疲労回復・集中力を高める、髪の健康(育毛効果)、 肝機能や不妊の改善効果 |
メチオニン | かゆみやアレルギーの原因となるヒスタミンの、 血中濃度を下げたり、抑うつ効果もある |
フェニルアラニン | 興奮作用のあるドーパミンなどの神経伝達物質の もとになる。鎮痛作用や抗うつ効果も |
スレオニン | 成長を促進する作用、 肝臓に脂肪がたまるのを防ぐ➡脂肪肝予防 |
トリプトファン | 脳や神経の働きを安定させるセロトニンの元の成分 。鎮痛・催眠効果がある |
バリン | 筋肉組織の主成分の1つで筋力を強化、 体の成長を促し、血液中の窒素のバランスを整える |
ヒスチジン | 子どもの成長に欠かせない成分、 神経の働きを助けたり、ストレスを軽減する |
悪玉コレステロールを減らす
先ほど酢酸には血管を広げる働きがあると紹介しましたが、
- リジン
- メチオニン
- ロイシン
などの必須アミノ酸には、コレステロールや中性脂肪が血管壁にたまるのを防ぐ働きがあります。
これにより、善玉コレステロールを減らすことなく、悪玉コレステロールだけを減らしてくれます。
肝臓を老けさせない
肝臓はアミノ酸を作り過ぎると疲れてしまい、肝臓が老けてしまいます。(アミノ酸が合成できなくなる)
そして肝臓はアルコールや薬、老廃物などの有害な物質を分解し、からだに影響をおよぼさないように無毒化します。
ただ、肝臓が疲れていると働きが悪くなり、病気にかかりやすくなってしまいます。
ですが黒酢にはたんぱく質がほとんど含まれていないため、肝臓でアミノ酸に変化させる必要がありません。
つまり、たんぱく質からアミノ酸へ変化させなくて良いということは「肝臓を休ませる(負担を減らす)ことができる」のです。
疲労回復・基礎代謝を上げる(ダイエット効果)
その他に必須アミノ酸の中で最近注目されているのは
- イソロイシン
- ロイシン
- バリン
この3つのアミノ酸です。
これらは「BCAA(分岐鎖アミノ酸)」と呼ばれており運動中のエネルギー源になります。
さらに疲労回復の働きもあるため、運動前後に摂ると有効です。
また、BCAAは筋肉が活動するときそのエネルギー源としても使われ、ヒトの筋肉の形成や代謝と深く関わりがあります。
つまりBCAAを多く摂ることで基礎代謝量が上がり、健康的なダイエット作用が期待できるのです。
またアミノ酸は基礎代謝を上げる効果があり体内に溜まった脂肪をエネルギーとして燃焼してくれる働きがあります。
非必須アミノ酸の働き・効果・効能
必須アミノ酸以外には9種類のアミノ酸(非必須アミノ酸)も含まれています。
非必須は「必須ではない」という意味ではなく、「体内で合成できる(作られる)」という意味です。
体内で作られるから必要ないというわけではなく、食べ物からもしっかり摂る必要があります。
非必須アミノ酸の働き・効果や効能
非必須アミノ酸 | 働き・効果・効能 |
---|---|
アルギニン | 筋肉の増強、免疫機能の強化、生殖機能の改善 |
グルタミン酸 | うま味成分。集中力アップややる気を高める |
アスパラギン酸 | 疲労回復、アンモニア解毒、スキンケア |
プロリン | 美肌・関節痛改善・脂肪燃焼 |
アラニン | スキンケア・肝機能改善(二日酔い予防) |
グリシン | 美肌・睡眠の質を上げる |
セリン | 美肌・認知症予防・睡眠の質を上げる |
チロシン | 記憶力を高め、脳の回転をよくする |
美肌効果
肌のうるおいを保つ天然の保湿成分の約40%はアミノ酸です。
さらに肌のハリや弾力に重要なコラーゲンもアミノ酸で構成されています。
しかも黒酢に含まれている
- プロリン
- アラニン
- グリシン
といった非必須アミノ酸にはコラーゲンの主成分でそれぞれ美肌効果があります。
さらにプロリンには脂肪燃焼効果があります。
このようにアミノ酸の種類が多いだけでなく、含有量もお酢の中では断トツに多いのが黒酢です。
クエン酸の効果や効能
酢酸と同様にクエン酸にも全てのお酢に含まれている成分です。
- 血液をサラサラにする
- 疲労回復
- カルシウムの吸収率を高める
といった効果が期待されています。
その他黒酢にはミネラルやビタミンB群なども含まれています。
黒酢の効果や効能のまとめ
①健康効果
- 酢酸(高血糖・高血圧・高脂肪抑制)
- アルギニン(血管拡張)
- クエン酸(血液サラサラ)
酢酸・クエン酸のだけの働きであれば他のお酢でも良いです。
ですが肝臓を休める働きがある黒酢のアミノ酸を考慮すると高血圧の人には黒酢がおすすめです。
また、お酢は血圧が正常な方や低血圧の方が摂取しても、血圧を下げることはありません。
血圧を下げるのは血圧が高い方だけです。
血管が広がり、血液がサラサラになると血流が良くなり冷え性も改善されます。
冷え性の一番の原因は血流が悪くなるからなので、特に冷え性が多い女性は黒酢を摂り入れることで改善できる可能性が高くなります。
そして最近注目されているのは、ガンの抑制作用です。
黒酢を長期間摂取することで大腸ガンの発生を抑制する効果があるといわれています。
黒酢の効果によりガン細胞を抑えられるという研究結果もまだ動物実験の段階ではありますが発表されています。
②美肌効果
- 酢酸(新陳代謝を活発にする)
- プロリン(コラーゲン主成分)
- アラニン(コラーゲン主成分)
- グリシン(コラーゲン主成分)
お酢の中でも黒酢は抗酸化作用が強くしみやシワの原因となる活性酸素が過剰に増えるのを抑制させる働きもあります。
さらに皮膚ガンの抑制効果が見られたという研究結果も出ています 。
➂ダイエット効果
- 酢酸(内臓脂肪を減少)
- プロリン(脂肪燃焼)
- BCAA(新陳代謝を活発化)
お酢の大手の製造メーカーミツカンの研究では12週間1日大さじ1杯(15ml)をとることで内臓脂肪が減り皮下脂肪も減る傾向が見られると発表しています。
実際にテレビ番組でも実験した様子を見ることができました。
2週間お酢を毎日大さじ1杯(15ml)摂り続けるというテレビ番組の実験(湘南メディカル記念病院の消化器内科部長の春山晋先生監修のもと)で、
お酢はどんな料理に使ってもOKで、暴飲暴食は禁止という条件です。
実験は11人と少なかったですが、
内臓脂肪が特にに小さくなったのは
- 113.54㎠の女性で2週間後に89.7㎠
- 118.57㎠の男性で2週間後に94.7㎠
と生活習慣病のリスクが低くなる程度まで下がりました。
※内臓脂肪は100c㎡を超えると生活習慣病のリスクが上がると言われています
11人のうち
- 下がった人が6人
- 変わらないが1人
- 増えた人が4人
という結果でした。
これは2週間での結果ですので、もう少し続けるともっと内臓脂肪が減った人が増えたかもしれません。
この実験のお酢の種類は紹介されていませんでしたが、酢酸の効果だけでなく、必須アミノ酸の効果も期待できる黒酢がダイエットをする際には一番おすすめです。
④疲労回復
- BCAA(筋力アップの効果も)
- クエン酸
黒酢にはその他にも
- 免疫力アップ(ナチュラルキラー細胞の活性化)
- 二日酔いの予防(アミノ酸)
といった効果も期待されています。
ただし飲むのを止めると、もとに戻ると言われていますので、毎日継続して摂るようにしましょう。
黒酢の1日の摂取量
さきほどダイエットの実験のところでお酢を1日15ml(大さじ一杯)摂ると紹介しましたが、健康や美容のために飲む場合でも1日15ml、多くても30mlで十分です。
少ない量で栄養価を得られ、効果を発揮するところがお酢のスゴイところです!
逆に健康に良いからとそれ以上に飲むと刺激が強いため、食道や胃を痛めることがあるのでおすすめできません。
黒酢の効果的な飲み方
飲む目的によって効果的な飲み方が変わってきます。
①ダイエット目的の場合は「食後」
食前に飲むと胃に刺激を与えてしまうので食欲がアップしてしまいます。
※食事と一緒にでも大丈夫です。
②健康維持にためには「食事と一緒」
血糖値の上昇を抑えたりカルシウムの吸収を高めたりする効果が期待できます。
➂運動する場合は食前・食後どちらもOK
お酢には疲労回復の効果があるので運動後がおすすめです。
また、筋力アップの効果や疲労が蓄積しにくい効果もあるので運動前に飲むのもおすすめです。
黒酢を飲む際の注意点
健康や美容などに良い黒酢ですが注意点があります。
これは黒酢だけではなくお酢全般に言えますがお酢に含まれている酸によって歯の表面のエナメル質が溶けると言われています。
エナメル質が溶けることで虫歯になりやすくなったり、知覚過敏になりやすいと言われています。
黒酢の摂取後はよく口の中をすすいで(または歯磨きをする)歯に酸が残らないようにしましょう。
また黒酢の摂取量の目安は先ほども紹介したように1日で15cc~30ccです。
特に黒酢を直接飲むと刺激が強すぎて胃を痛める場合もあるので、黒酢を直接飲む場合はかならず水や豆乳などで薄めてから飲むようにしましょう。
また黒酢は冷え性に効果があると紹介しましたが、もともと黒酢には身体を冷やす作用もあります。
冷え性の方は黒酢を冷やした状態ではなく、お湯で割るか常温で飲むのがおすすめです。
まとめ
黒酢は玄米が原料なので、精米(白米)が原料の米酢よりも栄養価が高いです。
特にアミノ酸は他のお酢と比べても種類そして含有量も断トツです。
また一般的な食べ物はたんぱく質を肝臓でアミノ酸に変換させることで摂取が可能となりますが、黒酢は最初からアミノ酸の状態で摂ることができるので、アミノ酸の効果の即効性が期待できます。
酢酸は
- 血糖値を下げる
- 血圧を下げる(お酢の中でも黒酢が一番効果がある)
- 脂肪燃焼
といった3つの効果がありますが、同時に3つの効果が期待できる食べ物はお酢だけです。
ただこれだけたくさんの効果がある黒酢ですが、ダイエット目的だけでなく、健康目的などでも1日の摂取量は15~30ccまでにしましょう。
少量で効果が発揮されるのが黒酢のスゴイところです。
また継続して摂取しないと効果が薄れてしまうので、毎日飲むようにしてください。
お酢はいろいろな種類があり、飲みやすさではりんご酢などに負けるものの、健康や美容、ダイエット効果に関しては一番おすすめのお酢は黒酢です。
ぜひ黒酢を飲んでで美しく健康的な生活を送りましょう。