えごま油は健康や美容、ダイエットに効果があるということでテレビで紹介され、一時は手に入らないこともありました。
ですが同じオメガ3系オイルの亜麻仁(アマニ)油はえごま油とひけをとらないどころか、えごま油と同じくらいに優れている点が多いため、実際にどのような違いや差があるのか、無いのか知りたくなりますよね。
今回は亜麻仁油とえごま油の共通点や栄養成分の違いなどをわかりやすく説明しますので、これを読んでからオイルを購入しましょう。
亜麻仁油とえごま油の共通点は?

亜麻仁油とえごま油は両方とも不飽和脂肪酸一種であるオメガ3脂肪酸が多く含まれています。
特にオメガ3脂肪酸の中でもα‐リノレン酸が大部分を占めていますが、一部(15%程度)は青魚などに含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)に変換されます。
αリノレン酸やEPA,DHAといったオメガ3脂肪酸を摂取することで期待されている効果効能は下記の通りです。
※一部の効果・効能は科学的データが不十分なものもあります。
- 認知症の予防
- 記憶学習能力の向上(子供の脳の発育に効果)
- 血流改善、血栓予防効果
- アレルギー抑制(花粉症、アトピー性皮膚炎など)
- 老化予防(アンチエイジング)
- うつの軽減
- 中性脂肪・血中コレステロールの軽減
- 高血圧の予防
- 糖尿病の予防
- 動脈硬化・不整脈の予防
- 脳卒中の予防
- ガンの予防(特に乳がん、肺がん、大腸がんに有効)
- 視力アップ
- 脂肪肝の予防
- ダイエット効果
- 美容・美肌効果
とざっと挙げただけでもさまざまな美容や健康に効果や効能があることがわかりますね。
α‐リノレン酸は食用油の中では亜麻仁油やえごま油以外にもグリーンナッツオイル(サチャインチオイル)にも含まれています。
ではこのα‐リノレン酸はどちらの油に多く含まれているかというと、産地などで若干変わる場合もありますが、どちらも同じ程度の量が含まれています。
一般的にはえごま油の脂質構成は
- αリノレン酸が約60%
- オレイン酸が約14.4%
- リノール酸が14.3%
- その他11.3%
一方亜麻仁油は
- αリノレン酸が約56%
- オレイン酸が約18%
- リノール酸が15%
- その他11%
とほとんど差がありません。
ちなみにグリーンナッツオイルはα‐リノレン酸の割合は約50%です。
亜麻仁油とえごま油の脂肪酸以外の成分の違いは?
それでは亜麻仁油やえごま油の脂肪酸以外の成分には、どのような違いがあるのでしょうか?
亜麻仁油の成分の特徴

亜麻仁油にはポリフェノールの一種のリグナンという成分が含まれています。
リグナンの効果や効能
リグナンは腸内細菌によって非常に強力な抗がん物質に変化し、体内でエンテロラクトンという物質を作る材料になるのですが
これが
- 大腸がん
- 乳がん
- 子宮がん
- 卵巣がん
- 前立腺がん
などの女性ホルモンや男性ホルモンが関わるガンを予防すると期待されています。
また、インフルエンザやヘルペス、A型肝炎、B型肝炎などのウイルスにも対抗し、免疫システムを促進するパワフルな働きをすることもわかっています。
そしてそれだけではなく、
- 更年期障害
- 心臓疾患
- 便通
- アレルギー(花粉症など)
- 糖尿病
- 月経前症候群(PMS)
- 関節炎
- 慢性疲労
- 片頭痛
- 皮膚炎
- 精神疾患
これらの予防や改善がアメリカでの臨床実験により医学的な効果があるとして報告されています。
えごま油の成分の特徴
一方でえごま油にはルテオリンとロズマリン酸いうポリフェノールが含まれています。
ルテオリンの特徴や効果効能
① 強い抗炎症作用
脳を守る免疫細胞は年をとると過剰に分泌される傾向にあり脳の炎症が起こりやすくなります。
そして脳が炎症を起こすと学習能力や脳の機能が低下するのですが、ルテオリンは強い抗炎症作用で脳の炎症を抑える効果があることがわかっています。
② 抗酸化作用
ルテオリンは体内にある活性酸素の生成を抑制する作用(抗酸化作用)があります。
活性酸素が体内で増えると老化(シミ、シワなどが増える)やガン、生活習慣病など数多くの病気を引き起こす可能性が高いのですが、ルテオリンが活性酸素の生成を抑制するので、老化防止につながります。
シミ、シワ、たるみなどを予防するので美肌にも良いということですし、病気の予防になるため健康にも良いです。
そしてルテオリンの抗酸化作用の中でも花粉症やアトピー性皮膚炎をはじめとするアレルギー性疾患にたいしても良い影響をもたらすと期待されています。
ロズマリン酸の特徴
①抗酸化作用
ルテオリンと同様に強い抗酸化作用があり抗アレルギーの効果が期待されています。
②ダイエット効果
ロズマリン酸には麦芽糖をブドウ糖に変化させない働きがあります。
ブドウ糖に変化しないと糖分として吸収されずに体に糖分がたまり過ぎるのを防ぐため、ダイエットに有効な成分と言われています。
亜麻仁油もえごま油もその他の成分はビタミンEが含まれています。
ビタミンEは抗酸化作用があり、また血液を改善(血液サラサラ)にする効果が期待されている成分です。
このように比較するとどちらもα‐リノレン酸の量はそれほど差がありませんし、ポリフェノールは種類が違うものの、効果や効能は似ている部分も多いので栄養価には差がありません。
あとはどちらも味やニオイに多少のクセがあるので、実際に試しみてどちらが自分に合うのかで決めても良いです。
もちろんどんなに健康に良い油でも薬ではありませんので即効性はなく、その効果や効能もそれぞれの成分の実験において結果が出ただけで、亜麻仁油を摂ってガンが治ったというわけではありません。
ですが、「油=不健康」というイメージがあるものの、それはサラダ油などに多く含まれるリノール酸の摂りすぎやトランス脂肪酸などによるものです。
本来3大栄養素の脂質は身体に必要な成分で、特にえごま油や亜麻仁油に多く含まれるα‐リノレン酸の日本人の摂取量は不足していると言われています。
ぜひサラダ油の摂取量を抑えて、亜麻仁油などのオメガ3系オイルを摂るようにしましょう。
ただし、商品のラベルに「亜麻仁油」や「えごま油」と書いてさえあれば、あとは価格を見て決めるという選び方はおすすめできません。
亜麻仁油とえごま油の選び方と注意点
味に関しては亜麻仁油の方がクセが強いと感じる方が多いですが、そのまま飲むのではなく、ピザやパスタな味の強い料理にさっとかければ特に気にならないです。
私はそれほど苦手な味ではありませんでしたが、やはりおいしいとは思わなかったのでアイスクリームにかけてみたところ違和感なくおいしく食べられました。
テレビの健康番組でもアイスクリームに亜麻仁油をかけて食べているというタレントさんも紹介されていました。
つまりどちらを選んでも、効果や効能に関しては変わらず味に違いはあるものの、両方とも少しクセがあるという点では、どちらを選んでも差はありません。
ただし購入する際に注意することが2点あります。
ひとつは両方の油とも酸化しやすいです。
亜麻仁油とえごま油は食用油の中でも酸化しやすく、透明の容器に入っている商品は光の影響を受けやすいので悪くなりやすいです。
必ず遮光性のビンなどに入っているものを選ぶようにしてください。
そしてもう一つは製造方法です。
油の製造はコールドプレス(低温圧搾)製法といって、低温でじっくり時間をかけて栄養価を損なわないようにするのが本来の方法です。
ですが、そのやり方ですと時間がかかり原料から、あまり油を抽出することができません。(30%前後です)
一方でサラダ油など大量生産している安い油は溶剤で原料を溶かすことで、ほぼ100%近く原料を効率的に抽出することができ、高温処理で短時間で製造します。
(溶剤の安全性も疑われています)
おかげで安い油を販売することができるのですが、高温での処理は脂肪酸以外の栄養成分がほとんどなくなってしまい、トランス脂肪酸も発生します。
現在販売されている亜麻仁油やえごま油はコールドプレス(低温圧搾)製法の商品だけでなく、サラダ油の製法に近い商品もあります。
サラダ油の製法に近い亜麻仁油やえごま油はα‐リノレン酸は含まれていますが、その他の栄養成分はほとんど含まれていません。
つまり、亜麻仁油のリグナンやえごま油のルテオリンなどのポリフェノールは含まれていません。
そのため、「α‐リノレン酸が入っていれば十分!できるだけ安いほうが良い」という場合は価格で選んでも構いません。
ですが良質な油が良いという場合はパッケージに「低温圧搾製法またはコールドプレス製法」と書いてある商品を選んでください。
ないも書いていない場合はほぼ100%低温圧搾製法ではありません。
えごま油のおすすめ商品
えごま油のおすすめは
「有機JAS低温圧搾無添加オーガニックエキストラバージンえごまオイル」です。
この商品は有機JAS・USDA・EUの有機認証を得た黒えごまの種子を、低温圧搾でしぼりとった無精製、無添加のエクストラバージンオイルです。
2015年の日本食品機能分析研究所においてαリノレン酸が69.5%含有と他のえごま油よりも10%程度高い数値を示しています。
有機JAS低温圧搾 無添加オーガニック エキストラバージンえごまオイル110g
その他のえごま油のおすすめ品は
良質なえごま油のおすすめ品と正しい選び方!コールドプレスだけじゃない購入ポイントは?
をご覧ください。
一方亜麻仁油でおすすめなのが「有機JAS認定 有機亜麻仁油」です。
原材料はカナダ産で有機JAS認定の最高級亜麻仁油で高リグナン含有種子を使用しています。
これ以外の商品は
亜麻仁油のおすすめ品と正しい選び方!加熱料理にも使える商品があるって本当?
をご覧ください。
さらに細かく亜麻仁油の選び方を紹介しています。
低温圧搾(コールドプレス)は低温で栄養成分を壊すことなく製造しているので高温処理で作られた油より時間がかかって値段も高いですが、本来の栄養成分が含まれているので本来の効果・効能が期待できます。
商品のラベルにもちゃんと「低温圧搾」か「コールドプレス」と書いてあるので亜麻仁油やえごま油以外の油を選ぶ際もこれを基準にしてください。
まとめ
えごま油と亜麻仁油の違いを紹介しましたが、特徴であるαリノレン酸の含有量はあまり変わりませんし、ポリフェノールの種類に違いはあるもののどちらも健康や美容に良いオイルです。
あとはどちらも味やニオイに少しクセがあるので、両方試食してみて好きな味の方を選んでも良いと思います。
現代人はサラダ油に多く含まれているリノール酸の摂り過ぎで、さまざまな病気や症状に悩んでいる人が多いです。
この機会に体に良いオイルを摂る生活をしてみましょう!